「国会議員として資格ない」丸山穂高議員への糾弾決議 衆院、全会一致で可決

    衆院本会議は6月6日、北方領土返還に関して「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名)に対する「糾弾決議案」を全会一致で可決した。

    衆院本会議は6月6日、北方領土返還に関して「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名)に対して、ただちに自らの進退を判断するよう促す「糾弾決議案」を全会一致で可決した。

    衆・参院事務局によると、議員個人に対する糾弾決議は初めてだという。

    ただ、今回の糾弾決議に法的拘束力はなく、議員の身分や特権には影響しない。

    ■与野党が共同提出した「糾弾決議案」

    立憲民主党、維新など野党6党派は「我が国の国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない。国益を大きく損ねる暴言」などとして、5月17日に丸山氏の「辞職勧告決議案」を衆院に共同提出していた

    これに対し、与党側はこれまで院外の発言を理由にした辞職勧告決議はないことから、議員の地位の取り扱いは慎重にすべきとして「譴責決議案」を提出するなど、与野党で対応が分かれていた。

    その後、与党側は譴責決議案の内容をより厳しく責任を追求する内容に改めた上で、野党側に賛同を求めていた。

    これに野党側が応じたことで、与野党が共同で「糾弾決議案」を提出。与党側は「譴責決議案」を、野党側は「辞職勧告決議案」を取り下げた。

    糾弾決議案では「我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない」「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせるものである」と丸山氏を厳しく批判。

    さらに「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」として、ただちに自らの進退を判断するよう促している。

    ■丸山氏「選挙での判断によるべき」

    一連の動きに、丸山氏はどう主張してきたのか。

    丸山氏は5月19日を最後にTwitterを更新していない。報道陣の取材に応じたのは、5月20日が最後だ。

    この日、国会内で取材に応じた丸山氏は、辞職勧告決議案について、過去には刑法犯や逮捕・起訴されたものに対して出されているとし、「発言について出すのは由々しき事態。言論府自体が、自らの首を絞めかねない行為」と批判した。

    一方で、問題視された「戦争しないとどうしようもなくないか」という発言について「不適切だった」と撤回、謝罪の意思を示しつつも、「私自身が実力行使をしたわけではないし、私が(戦争を)やれ、やりましょうよという話ではなかった」「一つの賛否を聞くというかたちでの発言だった」として釈明した。

    議員辞職については、3日までに衆院議院運営委員会(高市早苗委員長)に提出した弁明書で「最終的には選挙での有権者のご判断によるべき」と否定している。

    衆院本会議で糾弾決議が可決された7日午後、丸山議員はTwitterを更新。「ただちに自ら進退について判断を。仔細は議運への提出文書の通り、行蔵は我に存し毀誉は他人の主張にて。その任期を全うし前に進んでまいります」と投稿した。

    ただちに自ら進退について判断を。仔細は議運への提出文書の通り、行蔵は我に存し毀誉は他人の主張にて。その任期を全うし前に進んでまいります。 衆議院議員 丸山穂高


    ■丸山穂高議員への「糾弾決議案」全文

    議員丸山穂高君は、「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」に参加した際、憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し、事前の注意にも拘わらず、過剰に飲酒し泥酔の上、禁じられた外出を試みて、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべき行為を行い、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。

    よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。

    右決議する。

    理 由

    去る五月三十日の議院運営委員会理事会における政府関係者の説明によれば、議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、事前に事業の趣旨や注意事項について十分に知らされていたにも拘わらず、五月十一日に、ホームビジット先のロシア人島民宅で過剰に飲酒し、宿舎である「友好の家」に戻った際、禁じられている外出を強く希望し、そのために、政府同行者に議員が外出しないよう監視させる業務を強いる結果になったほか、食堂内で、コップで机をたたき、大声を張り上げ、団長に対する報道関係者の取材を妨害し、団長に対して、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。

    その後も、他の団員ともみ合いになり、自室に戻った後、再び出て騒いで、職員が戻るように促す、ということを翌日午前一時まで続け、その際、「私は会期中は不逮捕特権で逮捕されない」と述べたり、およそ品位のかけらもない卑猥な言葉を発したりするなどの多大な迷惑行為を行い、翌日には団員たちから、最も重要なロシア人島民の方々との交流会への参加の自粛を求められ、参加しなかったとのことである。

    丸山君の行動は、一歩間違えば日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動であり、これまで関係者が営々と築き上げてきた北方領土問題の解決に向けた努力を一瞬にして無に帰せしめかねないものであり、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。

    また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり、その卑猥な言動に至っては、議員としてというよりも人間としての品位を疑わせるものである。

    本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠き、およそ品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶める結果となったと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。

    よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。

    以上が、本決議案を提出する理由である。

    議員丸山穂高君糾弾決議案 第一九八回国会、決議第四号

    UPDATE

    丸山議員のツイート内容を追記しました。