丸山氏、辞職勧告案に反発 松井市長の「アルコール依存症」ツイートには撤回要求

    16日午後の衆院本会議を欠席した丸山議員が、報道陣の取材に応じた。

    北方領土の返還問題について「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言し、日本維新の会から除名された丸山穂高・衆院議員が5月20日午前、国会内で報道陣の取材に応じた。

    丸山氏は野党が共同提出した辞職勧告決議案について、「言論府として由々しき事態」だと反発し、改めて議員辞職を否定した。

    問題の発端は国後島での発言

    丸山氏は北方四島のビザなし交流の訪問団に一員として同行。朝日新聞などによると、5月11日夜、国後島の「友好の家」での懇談中にビザなし交流訪問団長の大塚小彌太さんに、以下のように発言した。

    丸山議員:団長は、その戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか。

    大塚さん:戦争で?

    丸山議員:だから、ロシアが混乱しているときに、取り返すのはOKですか。

    大塚さん:いや、戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない。

    丸山議員:でも取り返せないですよね。

    大塚さん:いや、戦争したって、戦争するべきではない。

    丸山議員:戦争しないとどうしようもなくないですか。

    大塚さん:戦争は必要ないです。

    当時、丸山氏は酒に酔っていたという。

    野党6党派「平和主義に反する」と辞職勧告決議案

    丸山氏の発言は各党が問題視。14日には菅義偉官房長官が記者会見で「報道されていることが事実であれば、誠に遺憾」と不快感を示した。

    同日、丸山氏は離党届を提出したが、日本維新の会は丸山氏を除名処分とした。

    丸山氏は16日午後の衆院本会議を欠席。公の場に姿を見せていなかったが、19日に「行方不明説が出ているらしいので」として、自身のTwitterを更新。

    日本維新の会の片山虎之助共同代表らがガルージン駐日ロシア大使に丸山氏の発言を陳謝したことに言及し、「ロシアへの“おわび”は完全に意味不明な対応」と批判した。

    また、ロシアへの「おわび」は完全に意味不明な対応かと。あの場での不適切性や元島民の方々への配慮を欠いていたことに対して謝罪し、除名処分にも従った。しかし、おかしなことにはおかしいと申し述べる。明日は決算委があるので、まずは、もしそこに各社記者さんらがいれば見解や対応をお話しする。

    立憲民主党、維新など野党6党派は「我が国の国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない。国益を大きく損ねる暴言」などとして、17日に丸山氏の議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。

    丸山氏、辞職勧告決議案に反発

    20日午前に報道陣の取材に応じた丸山氏は、辞職勧告決議案について、過去には刑法犯や逮捕・起訴されたものに対して出されているとし、「発言について出すのは由々しき事態。言論府自体が、自らの首を絞めかねない行為」と批判した。

    「与党側が多数を握っているわけで、野党議員の発言に対して辞職を迫るような勧告を出せるのであれば、次から次へと議員をクビにさせることができる」

    一方で、問題視された「戦争しないとどうしようもなくないか」という発言について「不適切だった」と撤回、謝罪の意思を示しつつも、「私自身が実力行使をしたわけではないし、私が(戦争を)やれ、やりましょうよという話ではなかった」「一つの賛否を聞くというかたちでの発言だった」として釈明した。

    松井市長の「アルコール依存症」ツイートを批判

    丸山氏は会見の中で、日本維新の会代表の松井一郎・大阪市長についても批判した。

    松井市長は19日夜、「丸山君、アルコール依存症は精神的なダメージがあると聞いていたので。ある意味安心しました」とツイート。

    丸山君、アルコール依存症は精神的なダメージがあると聞いていたので‼️ある意味安心しました。片山代表と馬場幹事長がロシア大使館へ伺ったのは、日本の国会議員が戦争で領土を取り返す趣旨で発言したのでは無い事の釈明と、これまでの外交努力を無駄にしない為です。辞職して出直して下さい。 https://t.co/8dOkaCheFe

    これについて丸山氏は、「非常に遺憾。どういうかたちで私がそう(アルコール依存症)と断定し、投稿したのか。医者の診断も根拠もなしに」「誰か医者から聞いたのであれば医師法違反だ。本当にアルコール依存症の方への配慮を欠いた発言」と、ツイートの撤回と謝罪を求めた。

    丸山氏に対する辞職勧告決議案(全文)

    衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民の相互理解の増進を目的とした、「平成31年度北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流に参加した途上で、元島民の方に対し、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。


    元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉の阻害要因ともなる、言語道断の言動であると断ぜざるを得ない。


    我が国の国是である平和主義に反し、更には、事態は国際問題にも発展しかねない可能性もあり、我が国の国益を大きく損ねる暴言であることも指摘せざるを得ない。


    また、今回の件は一議員の言動としても決して許されないだけでなく、丸山君が、沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員として、衆議院、参議院から推薦されるメンバーとして、いわば国会議員を代表する形で、公費で北方四島交流訪問事業に参加した中でなされた言動である。この論外の言動が、国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭い難い。


    丸山君は、その所属政党からも一刻も早い議員辞職を求められたにもかかわらず、未だにその職に留まる意思を示しており、事の重大さを全く理解していないと言わざるを得ない。丸山君はこの事態を重く受け止め、直ちに議員の職を辞するべきであると勧告する。


    以上が、本決議案を提出する理由である。

    議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案 第一九八回国会、決議第二号