グダグダになった米朝首脳会談。合意できなかった理由、米朝で説明にズレ

    北朝鮮の崔善姫外務次官は「我らの国務委員長同志が、今後の合意交渉に対して意欲を失ったではないかと感じた」と懸念。

    北朝鮮の非核化交渉をめぐり、物別れに終わった2回目の米朝首脳会談。トランプ大統領は合意に至らなかった理由を「経済制裁の完全解除を要求された」と主張したが、北朝鮮側がこれを否定。改めて米朝間の隔たりが浮き彫りになった。

    トランプ氏「北朝鮮が経済制裁の全面解除を要求」

    トランプ氏は2月28日、首脳会談終了後に記者会見で、北朝鮮側が寧辺にある核施設の廃棄と引き換えに経済制裁の「完全解除」を要求してきたと主張。

    プルトニウムやウランの濃縮施設など他の施設が廃棄対象に含まれていなかったことから、トランプ大統領は今回の合意を見送ったと語っていた。

    北朝鮮側が否定

    ところが、北朝鮮の李容浩外相はトランプ大統領の主張を否定した。

    李外相は同日深夜に開いた会見で、北朝鮮が求めたのは「制裁の一部の解除であって、全面解除ではない」「人民の生活に支障をきたす項目だけを先に解除してほしいと伝えた」と主張した。

    李外相は「アメリカが制裁の一部、つまりは民需経済と人民生活に支障を与える項目の制裁を解除すれば、寧辺のプルトニウムとウランを含む核物質生産施設をアメリカ側の専門家の立ち会いのもと、両国の技術者による共同作業で永久的かつ完全に廃棄する」と述べた。

    ただ、今後もアメリカ側との交渉は続ける姿勢を示した。

    会見に同席した崔善姫外務次官は、寧辺の核施設の見返りとして一部制裁の解除を拒否されたとして、「我らの国務委員長同志が、今後の合意交渉に対して意欲を失ったではないかと感じた」と懸念を示した。

    来年の大統領選を前に、トランプ大統領は苦境に立っている。

    トランプ氏は自らが公約として掲げたメキシコ国境の「壁」の予算をめぐっては軍事予算から捻出するため非常事態宣言を発していたが、野党・民主党が多数を占める下院は非常事態宣言を阻止する決議案を可決している。

    また、自らが勝利した大統領選にロシアが介入していたとされる「ロシアゲート疑惑」をめぐっては、元顧問弁護士だったマイケル・コーエン被告がトランプ氏に不利な証言をしたばかりだった。