映画「君の名は。」の物語の舞台になっている飛騨高山地方。
大ヒット作品の“聖地”でありながら映画館がなかったこの地で、11月6日、市民向けの上映会が行われることが決まった。
BuzzFeed Newsでは、9月23日付けの記事で、市は公開前から上映会の打診を行ってきたと伝えていた。都竹淳也市長は「とにかく東宝さんに感謝」と喜ぶ。
最寄りの映画館は、隣の県
飛騨地方は、ヒロインの三葉が住む集落のモデルとして描かれており、駅やバス停、図書館などに現実の景色をモデルとしたシーンが多数登場する。
新海誠監督も「岐阜県、飛騨の皆さんには劇場で近くの町の風景を感じてほしい」と話していた。
しかし、飛騨には映画館がない。
飛騨市中心部からから最も近い映画館は、隣の富山県の「TOHOシネマズファボーレ富山」。車で1時間半ほどかかる距離だ。
自分たちが住む地域がアニメに! ということは知っていても、鑑賞するチャンスがない住民も少なくなかったようだ。
市役所観光課も映画館へのアクセスが悪いことは認識しており、BuzzFeed Newsの取材に対して「公開前から東宝に上映会の打診はしている」と話していた。
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飛騨市の都竹淳也市長も、自身のFabebookページで交渉が難航していることを度々示唆していた。
公開前からずっと交渉しているのですが、結構難航してます。原則、劇場優先なのと、貸し出すフィルム確保の問題のようです。(9月10日)
飛騨市内、飛騨地域ではまだ観れていない方が多いのですが、上映会がなかなか難しい状態なので、別のことを考えたいと思います。(9月19日)
公開から約2カ月、念願かなって上映会にこぎつけた。
「話題にしてくださった皆さんのおかげ」
「そうなんです、ずっとお願いはしていたのですが……やっと実現することになりました!」
飛騨市役所観光課の横山理恵さんは、弾んだ声で取材に応じてくれた。
上映会は11月6日、飛騨古川駅すぐの文化交流センターで実施。TOHOシネマズの協力を得て、1日限定で3回上映する。
各回約650人を定員とし、計2000人を動員する予定だ。
「人口2万5000人の小さな市としては、かなり大きな規模のイベントになります」
「公開中の作品の上映会が実現したのは『聖地なのに映画館がないらしい』とネットで話題になり、テレビやネットメディアで取り上げてもらった結果。応援してくださった皆さんのおかげです」
都竹市長も、BuzzFeed Newsの取材にこう答える。
「とにかく、東宝さんに感謝です」
「劇場上映中の作品にも関わらず、このように協力的にご対応いただいてありがたい。市民の反響も大きく、大変うれしく思っています」
“聖地巡礼”客足は衰えず
「君の名は。」の聖地巡礼として飛騨市を訪れる観光客は、10月に入っても減らず、週末の駐車場では全国各地のナンバーが見られるという。
映画のシーンと実際の飛騨の風景写真を展示するパネル展も好評。今月で終了予定だったが、12月27日までの会期延長が決まった。
上映会の市民向けチケット先行販売は、23日午前10時から。市外のファンのための一般発売の有無は、残席がある場合のみ31日に飛騨市Webサイトで行う予定だ。販売がない場合は、事前に告知する。