「世界に配るなよ…」水素水をG20で提供、なぜ?外務省に聞いてみた

    「疑似科学」と批判も強い水素水。G20の飲料に選ばれた背景は…

    6月28、29日に開催されたG20大阪サミット。主要国の首脳陣が集まる会場で「水素水」が配布されたことに衝撃が走っている。

    国際メディアセンターに並ぶ水素水。 大阪G20。

    外国人記者はG20会場で飲み物の表示がわからなくて難儀することがあるようです。 仏記者にこれはなんだ、お茶か?水か?と質問を受けました。確かにぱっと見ると表示は日本語ですもん ね。

    水素水とは?

    水素水とは、通常の水よりも水素分子の濃度を高めたとされる飲料水の総称。美容や健康、ダイエットに効果があるとうたわれ、数年前にブームになった。しかし、その効用に対する科学的な裏付けは薄い。

    この商品のメーカー自体も、ホームページで「水素水は安全な食品です」としたうえで、「医薬品ではないため、健康効果を標ぼうするものではありません」と説明している。

    ブームを受け、消費者庁は2016年に「健康増進効果の根拠はない」とする製品テスト結果を公表。国立健康・栄養研究所も「ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない」と記述し、明治大学科学コミュニケーション研究所も、水素水が健康効果を標榜することに対して「疑似科学」と評価している。

    Twitterでは「よりにもよってアカン奴を提供しちゃったの!?」「恥ずかしすぎる」「世界に水素水配るなよ…」など、世界に注目される場で水素水が提供されていることに厳しい言葉が見られた。

    よりにもよって、アカン奴(水素水)を提供しちゃったの!? https://t.co/FKbaHRi4hO

    地球環境など科学的なことも話し合われるG20の場で、水素水というニセ科学商品が並んでいるなんて恥ずかしすぎる。 https://t.co/KlqMrOcTG1

    世界に水素水配るなよ… https://t.co/7zCkonDr95

    一体なぜ? 外務省に聞いてみた

    今回G20大阪サミットのプレスセンターに用意されていたのは、伊藤園の「健康体水素水」の310ミリリットル缶。通販限定商品で、価格は24本で4444円(税込)だ。

    どういう経緯で水素水が選定されたのだろうか? 外務省に聞くと以下のような回答が返ってきた。

    「今回のG20の大きな議題のひとつがプラスチックごみの削減。まずここからプラスチックスマートな環境作りに取り組む、つまり、ペットボトルの利用をやめようという大きな方針がありました。水、ソフトドリンク、アルコールなどすべての飲料でペットボトル製品の提供を控えています」

    「その上で、個別の商品選定は委託業者によるもの。水素水そのものを押し出す意図ではないと思います

    「ミネラルウォーター飲料で缶やビンの製品が少ないこと、手に取りやすい小ぶりなサイズであることなどが理由ではないでしょうか」

    確かによく見ると、ソフトドリンクも缶とビンの製品ばかり。ミネラルウォーターも「水素水」以外はすべてビンだという。

    それぞれの会談ではどう使われていたのだろうか?写真で確認すると、円卓の会談ではグラスに注いだ水が机上にある。

    個別の首脳会談ではビンのミネラルウォーターを使用している場合もあった。

    世界的に進むプラスチックごみ削減の動き。ペットボトル飲料が主流の日本でも、缶やビン入りの製品がまた増えていくかもしれない。