すべてはジェローム・ジャー(26歳)のツイートから始まった。Vineで超有名なフランス人起業家だ。
飛行機いっぱいに食べ物と水を載せて、飢饉に苦しむソマリアに飛ばそう。そんな無謀ともいえるアイデアを思いついた。
きっかけは、ソマリアのボランティアとジェロームの電話。母親と水を探して150キロを歩いてきた6歳の少女が、ボランティアの目前で脱水症状で息を引き取ろうとしていた。
「東アフリカで2000万人の食糧が足りない。解決策を探そう。ソーシャルメディアにいるみんな」とジェローム。「いまはクレイジーに聞こえるかもしれないけど、水や食料を積んだ飛行機をソマリアに飛ばそう。現地にはNGOがいて、配布してくれる」「死んでいく人たちを見ているだけという共謀犯になってはいけない」
ソマリア路線がある唯一の航空会社がトルコ航空だ。ジェロームはハッシュタグ #TurkishAirlinesHelpSomalia (トルコ航空ソマリアを助けて)をトレンドさせ、トルコ航空を動かそうと呼びかけた。「みんな、この思いに共感してほしい」
国連のグテーレス事務総長は3月7日、 ソマリアで620万人が人道的支援を必要としていると強調している。 人口の約半数にあたる。
ジェロームの呼びかけに、ネットの有名人たちが応じた。メキシコ出身のユーチューバー、フアンパ・スリータ(20歳)。「みんなの助けが必要。共にレボリューションを起こそう。 #TurkishAirlinesHelpSomalia🌎」。スペイン語で呼びかけた。
アメリカ人ユーチューバーのガブリエル・コント(22歳)。「ツイートでも、インスタでも、ハッシュタグをトレンドさせて、助けが必要な地域の助けになろう。成功させよう」
映画俳優のベン・スティラーも賛同した。「飛行機にいっぱいの食料を積んで飛ばす。クレイジーなアイデアだけど、やろう。ツイート、インスタ、スナチャどんなSNSでもいい。#TurkishAirlinesHelpSomalia助けになれるかもしれない。わたしもやるし、みなさんも 」
ついにツイッタートレンド1位に! #TurkishAirlinesHelpSomalia
そしてトルコ航空がツイートした。「ソマリア❤️ この意義あるフライトへの呼びかけを受け止めます」
ジェロームは翌日、喜びのツイート。「信じられない素晴らしい話を報告する。トルコ航空はお願いに応じてくれた。貨物機を飛ばしてくれる。ツイートを見て、電話をくれた。『やりましょう』って。3月27日、60トンの食糧を載せて飛ばせる」
英語、フランス語、スペイン語で喜ぶみんな!
トルコ航空のパイロットもメッセージを寄せた。「みなさんの愛と援助をソマリアへ運べることを嬉しく思います。とても意義あることの一助になれることを誇りに思います」
飛行機は確保した。次は食料だ。ジェロームらは援助物資を集めるための資金を募った。「みんなでやろう。ハッシュタグを使って、みんなに知らせるんだ。#LoveArmyForSomalia」「もし君がまだ若いなら、明日の昼食のケバブを我慢して、5ユーロ(600円)寄付して」
「みんなのビクトリー、ソマリアの人のビクトリー。愛と思いやりからの行為。素晴らしい。やり続けましょう」。アメリカンフットボールのコリン・キャパニック選手(29歳)も募金を呼びかけた。
そしてコリン選手は2万5千ドル(270万円)を寄付した。
女性グループ「フィフス・ハーモニー」のメンバー、ローレン・ハウレギ(20歳)もツイート。「どんな額でもお金を出せるなら、どうか、どうか、この素晴らしい募金に寄付して!人々、赤ちゃんを救う助けになりましょう❤️😊❤️」
「少なくとも10機分の物資が調達できた!!!」と喜ぶジェローム。100万ドルを超えた募金は、飲料水に振り分けるという。「2000リットルを運べる給水車は1日100家族を助けることができる。寄付があればあるほど、より多くの給水車を用意できる」「みんなが水と食料を手にできるまで、やり続けよう」
ソマリア出身という大学生。これまで自分の出来る限りの寄付をしてきたけど、それでは足りなかったと打ち明けた。そして泣きながら、有名なユーチューバーたちが協力して立ち上がってくれたことに、感謝を述べた。
「ワーオ ソーシャルメディはなんてパワフル、ハッシュタグが成功に導いた。すごい!!!ソマリアを助けようとしているみんなに神様のご加護を❤️❤️❤️」
若者からの募金はやまない。DJのカルヴィン・ハリス(33歳)も2万5千ドル(270万円)を寄付した。
募金は総額2億6千万円(238万ドル)を超えた。
活動はニューヨークタイムズ紙の一面を飾り
60トンの食料は空輸を待つばかり。
3月27日。ソマリアに到着したジェロームは、現地の少女ムナちゃん(5歳)と遊ぶ動画をツイートした。「『飢饉』には名前がある」
この記事は英語から編集・翻訳しました。