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えっ?英語「They」にこんな意味もある......その深いわけ

著名な英文スタイルガイドがついに採用。変化する英語。

日本の英語の授業では通常、複数を指して使うと習う人称代名詞「They」。英文スタイルガイドとして権威ある『APスタイルブック』が「He」や「She」と呼ばれたくない人に対して、単数を指す代名詞として使うことを認めると発表した。

APスタイルブックの編集者ポーラ・フローク氏が3月24日、フロリダ州の会議で変更を発表した。5月末に発行される『2017年版APスタイルブック』に、theyを単数形の代名詞として使うガイドラインを示す。

APスタイルブックは、米AP通信が発行する英文スタイルガイド。文法やスペルの標準化のために編纂したもので、アメリカでは記者や編集者から大学生まで、文章を書くときに広く参照している。

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2017年版スタイルブックは、「They」を「単数」「ジェンダー中立」な代名詞として使うケースをこう説明している。

「男性としても、女性としても自認しない人、または、he/she/him/herとして呼ばれたくない人について書くとき」

「可能なときは代名詞の代わりに人物名を使うか、文章の言葉遣いを変える。they/them/theirと書くことが欠かせない場合は、その人物がジェンダー中立な代名詞を好んでいることを説明する。この言葉が複数を指すのではないことを明確にする」

ただ、この使用は「言い変えると非常にぎこちなかったり、ぎくしゃくするとき」に限るともしている。

新しいスタイルブックには、新たに「ジェンダー」という項目も入れる。

Updates to the @APStylebook's "gender" entry are 💯 #ACES2017

ジェンダー(gender)は「セックス(sex)とは同義ではない」。「ジェンダーは個人の社会的なアイデンティティを指す。セックスは生物学的な特徴を指す」「主要な医療機関によると、すべての人がセックスまたはジェンダーについての2分類のどちらか一方に分けられる訳ではない。すべての人を網羅しようとして、セックスまたはジェンダーにおいて、それぞれ、両方、片方、反対側を引き合いに出すのは避ける」

「ジェンダー」の項目では、シスジェンダー、インターセックス、トランスジェンダーといった言葉も説明されるという。

Whoa — "cisgender" adopted by AP #ACES2017

2017年版が発行されるのは5月末。既存の辞書や国連機関などの定義によると、シスジェンダー(cisgender)は生まれたときの性と自認する性が一致する人。トランスジェンダー(transgender)は生まれたときの性と自認する性が一致しない人。インターセックス(intersex)は生殖器、ホルモン、染色体など生物学・身体的な特徴が、男女どちらかの身体の典型的な定義に当てはまらない人

(過去記事:女を否定され、競技人生を絶たれたアスリート 性を決めるのは性器かホルモンか?

「LGBT、LGBTQ」という項目も追加される。

単数のtheyの採用について、ツイッター上では「前進」と呼ぶ人もいれば

Progress. Nongendered pronoun, "they" now accepted by the AP! https://t.co/mXx5sN4PiE

使用ケースを限定したことに「正しい方向への変化だが、十分ではない」と指摘する人もいた。

AP accepting they as a singular pronoun "in limited cases" is a change in the right direction but isn't enough https://t.co/vddXqbbwiI

この記事は英語から編集・翻訳しました。