女性議員の割合どうなる? 後回しにされ続けた「男女均等」の法案、成立へ

    「同数」ではなく「できる限り均等」で与野党が調整しました

    国や地方の選挙で「男女の候補者数をできる限り均等」にするよう政党に努力を求める法案が5月15日、参議院内閣委員会で全会一致で可決された。16日の参院本会議で成立する見通し。

    各政党に女性候補を擁立するよう努力義務を課すもので、法的な拘束力はない。

    「後回し」にされてようやく...

    この「政治分野における男女共同参画推進法案」には、紆余曲折があった。

    2015年2月に超党派の議員連盟が発足。しかし、男女を同数にすることには自民党内などから反発が強く、野党4党は「同数」とする法案を、与党は「均等」とする法案をそれぞれ提出していた。

    継続審議になったまま、「できる限り均等にする」で与野党が一致したのが2017年。これでようやく成立の動きになったが、加計学園の獣医学部新設をめぐる質疑で審議時間が確保されず、臨時国会の冒頭で衆議院が解散されたため廃案となった。

    法案は2018年4月に再提出され、4月12日の衆院本会議では全会一致で可決された。ところが、またも加計問題などで国会が空転し、連休前までは参院での採決の見通しも立たない状況だった。

    関係者から「今度こそ」との声が上がるなか、全会一致で可決された5月15日の参院内閣委員会では、女性の政治参画への障壁に関する実態調査や、国会や地方議会で議員の両立支援のための環境整備などの調査や情報提供を政府に求める附帯決議も採択した。

    衆議院では、女性議員は10人に1人

    2017年の衆院選の当選者のうち、女性の割合は10.1%。議場をイメージして表すと上の図のようになる。

    各国の議会が参加する列国議会同盟(IPU)の2017年のランキングでは、女性国会議員の割合は、日本(衆議院)は193カ国中165位。

    世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数でも2017年、日本は144カ国中114位で、政治や経済の分野での女性の登用の遅れが指摘されている。

    各党はどうやって「均等」にする?

    2017年10月の衆院選では、1180人の立候補者のうち、女性候補者は209人で、全体の17.1%。割合としては戦後最高だった。上のグラフは、主な政党の全候補者数と女性候補者の数だ。

    自民党は332人中25人(8%)、日本維新の会は52人中4人(8%)、公明党は53人中5人(9%)と、女性は1割に満たない。比較的多い党で、立憲民主党が78人中19人(24%)、共産党が243人中58人(24%)だが、いずれも政府が女性活躍推進の目標としている「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」には満たない。

    総務省「人口推計」2018年4月1日現在(概算値)によると、日本の人口は1億2653万人。その51.3%の6497万人は女性だ。

    「地盤、看板、カバン」がない

    にもかかわらず、女性の候補者が少ない理由には、育児との両立が難しかったり、家族の理解を得られなかったりすることがある。

    会社員が利用できる育児休業などの制度が議員にはなかったり、議会や議員活動が不規則かつ長時間に及んだりするからだ。

    最近でも、生後7カ月の長男を抱いて本会議場に出席しようとした熊本市議や、議員会館にある託児所の送迎に公用車を使っていた衆議院議員が、批判を受けたことがあった。

    また、そもそも政治の世界が「男性社会」のために女性が参入しづらいという、「鶏が先か卵が先か」の構造的な課題もある。政党としても、1人しか当選しない小選挙区で「地盤、看板、カバン」(支持組織、知名度、資金)をもたない新人女性を擁立しづらいという事情がある。

    こうした状況だからこそ、あらかじめ候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を訴えてきたのが、市民団体「クオータ制を推進する会(Qの会)」の代表で、元文部大臣の赤松良子さん(88)だ。

    1982年に労働省(当時)の婦人少年局長に就任し、男女雇用機会均等法の制定に尽力してきた赤松さん。2018年1月、クオータ制を推進する会のニュースレターにこのようなメッセージを寄せ、法案成立に期待をかけていた。

    2019年には統一自治体選挙、参議院議員選挙が実施されます。衆議院議員選挙も続くかもしれません。これらの選挙において男女ができる限り均等に参画する政治が、まさに「推進法」制定によって前進します。

    BuzzFeed Japanでは、女性議員の現状について日本の国会にどれだけ女性がいるかがわかる、7枚の証拠写真にまとめています。

    BuzzFeed JapanNews