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男女格差があるとどうなる? 入試や就職に直面する前に。高校生たちが考えた

「機会の平等」はどうすれば実現するのか。

ジェンダー平等を考えるシンポジウム「HeForShe すべての人が輝く社会を目指して〜Generation Zからの提言」が10月20日、東京都渋谷区の国連大学であった。UN Womenと資生堂が主催し、昨年に続いて2回目。高校生ら若い世代を中心に約200人が会場に集まった。 

「HeForShe」とは、ジェンダー平等を推進するための連帯運動。女性たちが直面している不平等や差別をなくすために男性も含めたすべての人が関わること、ジェンダー平等が達成されれば、すべての人々の利益になる、としている。2014年9月に、親善大使のエマ・ワトソンがキャンペーンの立ち上げを発表した。

男女格差の指数が140カ国中114位

東京医科大学の不正入試を受けた文部科学省の調査では、複数の大学で女子や浪人生を不利に扱っていた疑いがあることが10月12日、分かっている

UN Women日本事務所の石川雅恵所長は、会場の高校生たちにこう呼びかけた。

「今年は、医科大学の入試で女子学生に差別的な扱いもありました。世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数では2017年、日本は140カ国中114位ですが、このままにしておくわけにはいきません。若者たちから変えていく必要があります」

「HeForShe」キャンペーンは、ジェンダー平等に向けてトップから変革を促すことを目指して2015年、世界10カ国の首脳、世界的企業のCEO10名、大学の学長10名をインパクト・チャンピオンとして選んだ。

首脳10人には安倍晋三首相も含まれており、日本の大学からは唯一、名古屋大学の松尾清一総長が選ばれている。

「機会の平等を」

名古屋大学の岡田亜弥副理事はパネルディスカッションで、「ジェンダー・ギャップ指数が低いのは政治・経済分野が要因といわれているが、教育分野にも要因があります」と指摘。

なかでも高等教育の就学率の低さ、特に科学技術分野での女性研究者の割合が国際的に低い水準にあることを掲げ、「イノベーションを起こすは多様な考え方が必要ですが、女性のアイデアが生かされていない現実があります」と述べた。

教員の女性比率も低く、意思決定の場にいる管理職では女性はわずか8%。岡田さんは「『結果の平等』はすぐに難しくても『機会の平等』は性別を問わず保障されるべきです」と提言した。

「社会と経済が立ち行かなくなる」

NPO法人Gender Action Platform理事の大崎麻子さんは、持続的な開発目標(SDGs)について説明した。SDGsとは、2015年の国連サミットで採択された、国際社会が2030年までに達成することを目指す目標だ。

「SDGsには、誰ひとり取り残さないという理念があり、これを実現するために、今までのやり方、考え方、システムを変えていく、社会変革を起こすことが非常に重要です」

「若い人たちがこれからの時代を作っていくという発想をもち、積極的に提言していくことが必要。これまでの男女間の力関係や性別役割分担では、持続的な社会、経済は家庭レベルでも国レベルでも立ち行きません」

大崎さんは、世界共通のジェンダー課題として、以下の3点を上げた。

  1. 女性に対する暴力(性暴力、DV、セクシュアル・ハラスメント)の撲滅
  2. 無償ケア労働(家事、育児、介護、看護)の負担の軽減と再分配
  3. 意思決定・方針決定過程への女性の参画(国会議員、管理職・役員など意思決定ポジション)の推進


「医大入試での女性差別が問題になりましたが、その先にある医療現場の働き方の背景にあるのは、男性の医師はケア労働をやらないが女性の医師はやるのが当たり前、という意識です。制度を整えたうえで、役割分業の意識改革も重要視されています」

続いて高校生たちの提言では、25校の代表となった8校がプレゼンテーション。男女の格差を考えるために学校内でアンケートをしたりロールプレイングゲームを実施したりするなど、ユニークな取り組みが目立った。「男女比が偏る大学を問題視する流れができている」と指摘した男子高校生もいた。

BuzzFeed Japan特集エディターの小林明子もコメンテーターとして参加した。

BuzzFeed Japanは10月11日の国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)にちなんで、ジェンダーについて考え、自分らしく生きる人を応援する記事を集中的に発信した一覧はこちら